路傍の意地

70歳目前オヤジの、叫びとささやき

ケアリイ・レイシェルで泣く

  ブログ初心者なので、今日まで一生懸命、よしなしことをガリガリ書き込んできたけれど、あんまり全力投球すると、身がもたない、というか、本業に差し支えるということが、うっすらと分かってきた。
  確定申告もしなくちゃいけないし・・・・。

  たまには、軽―く、書き流すこともしとかないと。

  車を運転しながら、ラジオで、ケアリイ・レイシェルというハワイ在住の歌手が歌う、「カ・ノホナ・ピリ・カイ」という曲を聴いて、涙がこぼれた。たまに、そんな曲に出会うことがある。日々の憂きことが一瞬、洗い流されて、心が澄明に静まるように感じることがある。
  ちょっと、弱っているのかな。
   
  すぐにその曲が収められているアルバムを入手した。リリースされたのは3年ほど前だから、ずいぶんと経ってから聞いたことになる。
  アルバムのサブタイトルに、SCENT OF ISLANDS, SCENT OF MEMORIES  とある。

   島の匂い、思い出の香り。

  いいタイトルだと思う。
「カ・ノホナ・ピリ・カイ」を聞いて涙した、と書いたが実はこの曲は沖縄出身のグループ、ビギンの「涙そうそう」をカバーしたもの。沖縄から発された叙情が、ハワイの感性に掬い上げられて、美しくも優しい独特のリリシズムをまとって生まれ変わったように思われる。

 

涙そうそう」のカバーではあるけれど、聞いているとあれっと思う。確かに出だしは「涙そうそう」なのだけれど、途中から、ごく自然に、似ているけれど、まったく違う曲にすりかわっていく。
   滑らかに、静かに優しく。

  滞日中だったケアリイ・レイシェルはたまたまビギンが歌う「涙そうそう」を聞いて衝撃を受け、このアルバムの柱に据えることを決意したという。が、カバー化はたやすくなかった、とアルバムに収められたライナーノーツの中で語っている。

「ビギンが作ったこの素晴らしい曲を、私はただカバーしたいと思っていたわけではないんです。そこから私は、私自身の歌が現れるのをじっと待ちました。<涙そうそう>を聴いたときから私は感じていたのです、そこには何か私に歌われるべき別の物語がある、と。私は待ち、それから作業を始めましたが、作業も困難を極めました。様々な変換やアレンジを試しました。でも、私は心の声が言うままに従い、そうやって<カ・ノホナ・ピリ・カイ>は完成したのです」(今井栄一氏のライナーノーツより)

  素敵な話である。ケアリイ・レイシェルは「涙そうそう」を自分流に歌いこなそうとしたわけではなく、「何か私に歌われるべき別の物語」があるような気がして、その到来をじっと待ち続けていたのである。
   沖縄の旋律が風に乗って、遥かハワイに舞い降り、その地でゆっくりと醸成されるのを待って、静かに、歌い上げたのである。

   彼の歌声に身を任せると、島の匂い、思い出の香りが、聞くものの心を、あたたかく、包み込んでくれるような気がする。

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2008年2月にこんなことを書いていた。