路傍の意地

70歳目前オヤジの、叫びとささやき

どうすんだ、30兆円の株

 どなたか、もしご存知ならばお教えいただきたく、以下長々と書き連ねます。お許しください。経済のことはまことによく分からないもので。

 

 2013年日銀の黒田総裁は「異次元緩和政策」なる仰々しい政策を始めました。その目的は、いつまでも続くデフレから脱却し、日本経済に2%のインフレをもたらすことでした。ところがこれがいくらやっても功を奏さない。そこで日銀は奇策にうって出ました。金融緩和なんて生ぬるいことをやっていないで、直接、大量に株(ETF)を買い上げるというのです。株価が上昇し、世間が豊かになれば物価も上昇するだろうという理屈です。株の購入は2010年より細々と行っていましたが、2013年の異次元緩和でタガがはずれ、以降、購入額は急増、2016年からは年間6兆円も買い入れているのです。

 

 そんなこともあって、2020年の頭には29兆円のETFが日銀の金庫に溜まってしまうこととなりました。そこへ襲ってきたのが新型コロナウイルスです。日本経済は大打撃。アベちゃんはない知恵振り絞って必死に考えたに違いない。「株価が下がりさえしなければ、日本経済は元気だ! クロちゃん、株をじゃんじゃん買っちゃってちょうだい!」と言ったかどうかは知らない。昨年まで6兆円が年間購入上限額だったのを、一挙にその倍、12兆円に増額! 毎月1兆円の株購入に打って出たのです。

 

 それでどうなったか。簡単に言うと、ANAJALなど青息吐息だった企業の株価が急上昇に転じたのです。絶不調のユニクロを運営するファーストリテイリングの株価が急騰する始末です。日銀は4月に入っても1日、2日、9日と各1202億円を投入。日本株は一見小康状態を保っているように見えますが、現在の株価は、実体経済を全く反映していないのです。これって、死にかけのおっさんに無理やりスーツを着せ、ネクタイ締めて頬紅をさし、「ほら、こんなに元気です!」と言ってるに等しいのではないではないでしょうか。

 

「そんなに元気なら、ちょっと立たせて見せろ」と言われて、おっさんを立たせたら、へなへなと崩れ落ちるに違いない。だけれども、一たび始めた日銀の株の買い上げは終わらせたくても終わらせられない。終わったとたんに、ニッポン経済の裸の実力が世界に晒されてしまうんですから。

 

 すこし世界を見渡せば、このコロナ騒動、数カ月で終わるはずがないことは誰の眼にも明らかです。日本では、恐らく来年の今頃、猖獗を極めているはずで、モリちゃんだって、オリンピックのオの字も言わなくなっているはずです。「延期」なんていうのは気休めで、首脳陣は最初から「中止」と分かっていたのではないでしょうか。1か月の自粛は延々と延長されるに違いありません。そのうち、やけになったパチンコ屋やカラオケ屋が「殺されてもいい、店を開ける!」と鼻息荒く暴れる回ることになるでしょうが、その頃には日本経済のみならず世界経済がどん底に落ちているものと想像されます。

話が長くてすみません、私が知りたいのは、日銀はそのころまで毎月1兆円、株を買い続けるのだろうかということです。さすがに意味がないことに気づくのではないだろうかと思うのです。

 

 その次に知りたいのは、30兆円を超える株を、日銀はどうするのだろうか、ということです。いつまでも握りしめていてもしかたないし、かといって、一挙に売り出せば、人類がこれまで経験したことのない株価大暴落が起きるだろうし、ちびちび売っても緩慢に値下がりしていくことは間違いないし。本当に、どうするんでしょう?

 

 それに、もし抱え込んだままだと、今回のコロナショックのような事態で株価が暴落するようなことがあった場合、日銀は巨額の含み損を抱え込むことになります。一国の中央銀行が株で兆円の含み損を抱えたとなると、これは世界の笑いものになるだけではなくて、円の信認の失墜、大変な円安の到来となります。戦後の振出しに戻って1ドル360円なんてことになりかねません。

 

 長いついでに、もう少しお付き合いください。ここまで株(ETF)の話だけ書いてきましたが、実は、日銀は国債も500兆円弱、抱え込んじゃっているんです。日本の国家予算は約100兆円です。およそ5年分の国家予算に匹敵する国債を市中からせっせと買い集めてしまったわけです。これは今後どうやって決着をつけるんでしょうか?

 

 そして最後にどうしても分からないことが。国債に500兆円、株に30兆円と派手な数字を書いてきましたが、この巨額のお金、日銀はどうやって工面したんでしょうか? 

ひょっとして、輪転機でお札をがんがん刷っただけなんでしょうか?

どなたか、お教えください。